ITIL v3の資格を持っている人がITIL 4を学ぶ時、全部を最初から覚え直す必要はありません。土台の考え方はつながっています。学び直すのは、v3にはなかった「価値の共創」「7つの原則」「サービスバリューシステム」の3つと、プラクティスの呼び方の変化です。この記事は、v3を知っている人が差分だけを効率よく埋めるための順番を書いています。
先に、いまの時点で気をつけたい点を1つ挙げます。PeopleCert公式サイトによると、ITIL 4の認定試験と研修は2027年12月をもって終了します。2026年1月には新版のバージョン5が発表され、日本語版は2026年5月15日にリリースされました。これから資格を取るなら、ITIL 4かバージョン5かを最初に決めておくと学習が二度手間になりません。終了時期の詳細はITIL 4はいつまで受けられる?2027年12月終了とバージョン5への移行にまとめています。
v3とITIL 4は何が変わったのか
v3は、サービスのライフサイクルを5つの段階に分け、その中に26のプロセスを置く体系でした。戦略、設計、移行、運用、継続的改善という流れで、プロセスを順番どおりに回すことが中心です。
ITIL 4は、プロセスの手順よりも「価値をどう生み出すか」に軸を移しました。サービス提供者と利用者が一緒に価値をつくる、という考え方です。この変更は、試験の問われ方にも表れています。
差分は次の4点に絞れます。
- ライフサイクルの5段階が、サービスバリューシステム(SVS)に置き換わった
- 26のプロセスが、34のプラクティスという「組織の能力」の単位に変わった
- 従うべき7つの原則が新しく加わった
- サービスマネジメントの4つの側面(組織と人、情報と技術、パートナーとサプライヤー、バリューストリームとプロセス)が加わった
用語の見た目は似ていても、意味が違うものがあります。v3の「プロセス」は決まった入力から出力を作る手順でした。ITIL 4の「プラクティス」は、人・情報・技術などを含む、もっと広い能力のまとまりです。プロセスの知識はプラクティスの一部として生きますが、試験ではプラクティスの言い方で問われます。
ITIL 4 ファンデーションの問題演習はこちら →(まず50問は、会員登録もログインもなしで解けます)
v3の知識がそのまま使える範囲はどこか
v3を学んだ人は、インシデント管理・問題管理・変更管理・サービスデスクなどの実務を知っています。ITIL 4でもこれらは主要なプラクティスとして残っています。名前が変わったものもあります。v3の「変更管理」は、ITIL 4では「変更実現」という名前になりました。
そのまま使えるのは、次のような知識です。
- インシデントと問題の違い
- サービスレベルの考え方
- 継続的改善の必要性
- 構成情報やリリースの扱い
読み飛ばしてよい部分が多いのは、これらの実務の章です。逆に、時間をかけたいのは、次の節で挙げる新しい概念です。
v3取得者が学び直すべき5つの新概念
v3の経験者が最初につまずくのは、知らない用語ではなく、知っているつもりの用語です。次の5つを順に押さえると、差分の大半を埋められます。
- 価値の共創:サービスの価値は提供者が一方的に作るものではなく、利用者との関係の中で生まれます
- 有用性と保証:v3の「効用と保証」に近い考え方ですが、ITIL 4では用語と位置づけが整理し直されています
- 7つの原則:価値に注目する、現状から始める、フィードバックをもとに反復して進める、など全員が判断の拠り所にする考え方です
- SVS:機会と需要を価値に変える全体の仕組みで、ガイディングプリンシプル、ガバナンス、サービスバリューチェーン、プラクティス、継続的改善で構成されます
- サービスバリューチェーン:計画、改善、エンゲージ、設計と移行、入手と構築、提供とサポートの6つの活動です
試験で混同しやすい組み合わせは、ITIL 4で混同しやすい用語の見分け方で具体例つきで扱っています。v3の記憶と衝突しやすい用語から先に潰すと、復習の効率が上がります。
現在の選択肢はどれか
v3の認定を持つ人がITIL 4を学ぶ道は、大きく3つに分かれます。
1つ目は、ITIL 4 Foundationを新しく受ける道です。前提資格がなく、40問・60分・合格ライン65%(40問中26問の正解)の多肢選択式で、日本語で受験できます。v3を持っていても、入門から受け直すと考え方の切り替えがはっきりします。
2つ目は、v3の認定を持つ人向けの移行用の試験や区分を使う道です。ITIL 4には、v3上位資格の取得状況に応じた移行の仕組みが用意されていました。ただし、対象条件や現在の実施状況は変わっている可能性があります。申し込みの前に、PeopleCert公式サイトで確認してください。
3つ目は、ITIL 4を飛ばしてバージョン5に進む道です。ITIL 4の終了予定が2027年12月と公式に案内されているため、これから長く使う資格を取りたい人には選択肢になります。違いはITIL 4とバージョン5の違い:変更点を一覧でで確認できます。
選ぶ基準は、勤務先やお客様が求めている版です。求人票や社内の要件に「ITIL 4」と書かれていれば、ITIL 4を優先します。指定がなければ、終了予定を考えてバージョン5を検討します。
最短で仕上げる学習ルート
v3の経験者は、初学者より短い時間で仕上がります。目安は、初学者向けに言われる15〜30時間の下のほうです。この数字は公式の基準ではなく、あくまで学習時間の目安です。
次の順番で進めると、無駄がありません。
- 公式シラバスを開き、v3にない用語に印をつける
- 7つの原則と4つの側面を、自分の職場の実例に当てはめて読む
- SVSとサービスバリューチェーンの図を、白紙に自分で描く
- 主要プラクティスを読み、v3の名前との対応表を作る
- 問題演習で、間違えた用語だけを覚え直す
3番の図の描き直しは、v3経験者に特に効きます。v3のライフサイクル図が頭に残っているため、SVSの図と並べて違いを見ると、記憶の入れ替えが早く進みます。
時間が限られる場合は、ITIL 4 Foundation勉強時間と1週間プランの日割りを、v3で分かる章を圧縮する形で使ってください。勉強の全体像はITIL 4 Foundationの勉強法と試験概要にあります。
v3の経験が邪魔をする場面
v3に慣れた人ほど、次の場面で間違えます。
たとえば「インシデント管理はプロセスの1つである」という選択肢です。v3ならそのとおりですが、ITIL 4では「プラクティス」として問われます。用語の置き換えに気づかないと、正しい選択肢を見送ってしまいます。
もう1つは、「サービスは提供者が作って利用者に渡すもの」という理解です。ITIL 4は、利用者が関わって価値が生まれると考えます。選択肢に「共創」という言葉があれば、その方向が正解に近づきます。
資格道場での演習
資格道場では、ITIL 4 Foundationの問題集を用意しています。用語の定義と原則の言い回しを、実際の問題形式で確認できます。v3で知っている内容とのずれを、間違えた問題から見つける使い方が合います。詳しくはITIL 4 Foundationのページをご覧ください。
よくある質問
Q. v3の認定は、ITIL 4を取ると無効になりますか。
v3の認定は、ITIL 4を受けたからといって取り消されるものではありません。ただし、有効性の扱いは認定機関の規定によるため、公式サイトで要確認です。履歴書には、取得年と版を分けて書いておくと伝わります。
Q. v3のFoundationを持っていれば、ITIL 4 Foundationは免除されますか。
免除される制度が用意されているかどうかは、その時点のPeopleCertの規定で決まります。以前は移行用の区分がありましたが、現在の実施状況は変わっている可能性があります。申し込み前に公式サイトで確認してください。
Q. ITIL 4 Foundationの受験料はいくらですか。
PeopleCert公式サイトでは、受験料の実額が明示されていません。公式の教材と試験バウチャーなどを組み合わせたバンドル形式で販売され、価格が変動します。研修つきのプランでは金額がさらに変わるため、申し込み前に公式サイトで要確認です。
Q. 独学でも受験できますか。
ITIL 4 Foundationは、前提資格がなく、研修の受講も必須ではありません。独学で受験する人も多い試験です。独学の進め方はITIL 4 Foundationは独学で受かる【2026年版】にまとめています。
Q. ITIL 4とv3の違いは、試験にどれくらい出ますか。
ITIL 4 Foundationは現行の体系だけを問う試験です。v3との違いそのものは問われません。v3の知識は、理解を助ける土台として使い、試験ではITIL 4の用語で答えてください。
ITILは登録商標です。この記事は、公式の情報をもとに作成しました。