結論:名前と組み立てが変わり、暗記の重心が移りました
ITILの現行世代は ITIL Foundation (Version 5)、日本語で ITIL ファンデーション(バージョン5) です(「ITIL 5」「ITIL V5」とも呼ばれますが、公式の表記ではありません)。
ITIL 4 との違いを一言でまとめると、こうなります。
中心の思想は引き継がれ、名前と構造が整理された。そして、暗記すべき対象が「個別プラクティスの中身」から「全体の組み立て」へ移った。
ITIL v3 から ITIL 4 への変化が「考え方そのものの入れ替え」だったのに対し、今回は同じ土台の上での再編です。ITIL 4 を学んだ人にとって、ゼロからやり直しにはなりません。ただし旧称のまま答えると外すので、そこだけは機械的に上書きする必要があります。
ITIL ファンデーション(バージョン5)の問題演習はこちら →(まず50問は、会員登録もログインもなしで解けます)
試験仕様の違い ── ほぼ変わっていません
| 項目 | ITIL 4 Foundation | ITIL ファンデーション(バージョン5) |
|---|---|---|
| 問題数 | 40問 | 40問 |
| 試験時間 | 60分 | 60分 |
| 合格ライン | 65% | 65%(40問中26問=26点) |
| 形式 | 多肢選択式・クローズドブック | 多肢選択式・クローズドブック |
| 前提資格 | なし | なし(研修の受講も不要) |
| 実施状況 | 2027年12月をもって終了予定 | 現行世代(日本語版は2026年5月リリース) |
試験の枠組みは同じです。変わったのは中身のほうです。
名前が変わったもの(ここを直さないと外します)
ITIL 4 の教材で覚えた用語が、そのままの名前では出てこないものがあります。バージョン5を受けるなら、先にこの表で上書きしてください。
| ITIL 4 の言い方 | バージョン5の言い方 |
|---|---|
| サービスバリュー・システム(SVS) | ITILバリューシステム(ITIL VS) |
| サービスバリュー・チェーン | バリューチェーン |
| サービスマネジメントの4つの側面 | ITILプロダクトおよびサービスマネジメントの4つの側面 |
| (枠組みの呼称)サービスマネジメント | デジタルプロダクトおよびサービスマネジメント |
| 基本的/協力的/パートナーシップ | 基本関係/協力関係/協働関係(パートナシップ) |
覚え方は単純です。中心概念からは「サービス」が取れ、4つの側面には「ITILプロダクトおよびサービス」が付いた。この2方向だけ押さえれば、あとは自然に思い出せます。
構造が変わったもの
1. バリューチェーンの6活動 → ライフサイクルの8活動
バージョン5でいちばん大きな変更点です。
ITIL 4 のサービスバリュー・チェーンは、計画・改善・エンゲージ・設計および移行・取得/構築・提供およびサポートという6つの活動でした。
バージョン5では、ITILプロダクトおよびサービスライフサイクルの8つの管理活動が立ちます。
発見 → 設計 → 取得 → 構築 → 移行 → 運用 → 提供 → サポート
出題比重はカテゴリーとして10.0%です。ITIL 4 の6活動名を答えると外すので、経験者ほど注意が要ります。特に「計画」「改善」「エンゲージ」は6活動側の名前なので、8活動の選択肢に混ざっていたら誤りです。
なお、この8つは決まった順に一度だけ通るものではありません。運用中に見つかった課題から設計へ立ち返る、といった使い方が前提です。
2. 個別プラクティスの「目的」が、出題範囲から消えました
暗記の負担がいちばん大きく動いたのがここです。
ITIL 4 Foundationでは、試験の60%が「名前の付いた個別プラクティス」の内容でした(15プラクティスの目的が17.5%、7プラクティスの詳細が42.5%)。インシデント管理の目的、変更実現の目的……と覚えた、あの部分です。
バージョン5では、この比重が0%になりました。
管理プラクティスについて問われるのは、定義・2群に分かれていること・ITILバリューシステムにおける役割・プラクティスガイドの構造と恩恵・測定基準と重要成功要因(CSF)といった、メタな側面だけです。
ITIL 4 の教材で「◯◯管理の目的」を暗記してきた方へ ── その暗記は、この試験では使いません。空いた時間は、用語と原則へ回してください。
3. プラクティスの分類が3群から2群へ
| ITIL 4 | バージョン5 | |
|---|---|---|
| 群の数 | 3群 | 2群 |
| 群の名前 | 一般マネジメント/サービスマネジメント/技術マネジメント | プロダクトおよびサービスマネジメントのプラクティス/一般のマネジメントのプラクティス |
「技術マネジメント」という区分は消滅しました。プラクティスの総数(34)はおおむね維持されています。「3群に分けられている」と書かれた選択肢は、バージョン5では誤りです。
4. 有用性・保証が、4要素に増えました
ITIL 4 では有用性・保証の2要素でしたが、バージョン5では有用性・保証・ユーザー体験・持続可能性の4要素になりました。数を問う穴埋めで狙われる論点です。
5. 4つの側面は、中身は同じで並び順が変わりました
項目そのものは4つとも同じです。ただし2番目と3番目が入れ替わりました。
- ITIL 4:組織と人材 → 情報とテクノロジー → パートナーとサプライヤー → バリューストリームとプロセス
- バージョン5:組織と人材 → パートナーとサプライヤー → 情報とテクノロジー → バリューストリームとプロセス
新しく範囲に入ったもの
バージョン5で初めて出題範囲に入った領域です。ITIL 4 の教材には一行もありません。
| 領域 | 比重 | 中身 |
|---|---|---|
| ITILとAI | 2.5% | AI・生成AI・エージェント型AI・AI成熟度といった用語、AIがライフサイクルとバリューチェーンをどう支えるか、AIガバナンス |
| バリューストリームの特定、マッピング、および管理 | 5.0% | 独立したカテゴリーとして格上げ。コアバリューストリームとイネーブリングバリューストリーム、複雑性思考など |
| ITILとその他のフレームワーク | 2.5% | DevOps、プロジェクト管理・PRINCE2との関係 |
このほか、商品(goods)/デジタルプロダクトベンダー/災害/CI・CD・継続的デプロイ/信頼性・SRE・オブザーバビリティ/オペレーティングモデルといった用語が新しく登場します。
比重の合計は10%です。1割は「ITIL 4 の知識では絶対に届かない範囲」と考えて、最初から新しく学ぶ前提で時間を取ってください。逆に言えば、読んで覚えれば対応できる範囲でもあります。
変わっていないもの(ここは安心してください)
- 7つの従うべき原則 ── 名称も数も同じです。位置づけが独立した学習目標(ITIL 4 では15.0%)からカテゴリーの1トピックへ移っただけです
- 4つの側面の4項目(並び順だけ変わりました)
- 価値共創、アウトプットと成果、コストとリスク、スポンサー・顧客・ユーザー、SLA、ガバナンス、PESTLE、継続的改善モデル
- インシデント・イベント・問題・既知のエラー・サービス要求・リリース・テストといった用語そのもの
公式FAQも、バージョン5がITIL 4 以前からの実証された概念とモデル(バリューシステムや指導原則を含む)を取り入れていると明言しています。引き継がれている部分のほうが多いというのが実態です。
出題比重の移り方を、数字で見る
| ITIL 4 で厚かったところ | バージョン5では |
|---|---|
| 個別プラクティスの目的・詳細(17.5% + 42.5% = 60%) | 0% |
| 従うべき原則(15.0%) | カテゴリー4「ITILバリューシステム」(40.0%)の中の1トピックへ |
バージョン5の比重は、主要なITIL用語と定義30.0%/ITILバリューシステム40.0%の2つで70%を占めます。
つまり学習の重心は、「個々のプラクティスを覚える」から「用語を正確に定義でき、全体の組み立てを説明できる」へ移りました。暗記の総量はむしろ減っていますが、似た用語を取り違えない精度が今まで以上に効きます。
よくある質問
Q. ITIL 4 の知識は、どこまで使えますか?
7つの従うべき原則、4つの側面の項目、価値共創やSLAといった基礎用語はそのまま使えます。使えないのは、①旧称(SVS・サービスバリュー・チェーンなど)、②バリューチェーンの6活動名、③個別プラクティスの目的の暗記、の3つです。この3つを上書きするのが、経験者にとっての実質的な学習になります。
Q. ITIL 4 を持っている場合、もう一度ファンデーションを受け直す必要はありますか?
必須ではありません。取得済みの認定は失効せず、バージョン5の上位モジュールの前提資格としても引き続き有効です。差分だけを確認したい場合は、ITIL 4 有資格者向けのITIL ファンデーション Bridge(バージョン5)(20問・合格ライン65%)があります。Bridgeは「バージョン5で新たに導入・変更・拡張された概念にのみ焦点を当て、ITIL 4 から変更のないトピックは再評価しない」と公式に範囲が宣言されています。
Q. どちらのバージョンで勉強すべきですか?
勤務先や案件の指定があればそれに従ってください。指定がなく、これから学び始めるなら、ITIL 4 の認定試験・研修は2027年12月をもって終了予定なので、現行世代のバージョン5が素直です。判断の材料はITIL 4はいつまで受けられる?にまとめています。
Q. ITIL 4 用の問題集を、バージョン5の対策に使えますか?
おすすめしません。旧称のまま出題されている点に加え、ITIL 4 では試験の60%を占めていた個別プラクティスの内容が、バージョン5では出題範囲から外れているからです。範囲外の設問を大量に解くことになります。教材は、自分が受ける版に合わせてください。
Q. 難易度は上がりましたか?
問題数・試験時間・合格ラインは同じで、暗記の総量も増えてはいません。ただし新しい範囲が1割ほどあることと、旧称の取り違えという新しい落とし穴があることの2点で、ITIL 4 経験者はかえって足をすくわれやすい構成になっています。
まとめ
- 変わったのは名前と組み立て。中心の思想はITIL 4 から引き継がれている
- SVS → ITILバリューシステム、サービスバリュー・チェーン → バリューチェーン
- 6活動 → ライフサイクルの8活動(発見・設計・取得・構築・移行・運用・提供・サポート)
- 個別プラクティスの目的は出題範囲から消えた(ITIL 4 では60%)
- 有用性・保証は4要素へ、4つの側面は並び順だけ変更
- AI・バリューストリーム・他フレームワークが新規で計10%
- 7つの従うべき原則は名称も数も変更なし
資格道場の使い方
バージョン5の対策でいちばん怖いのは、ITIL 4 の記憶が残ったまま旧称で答えてしまうことです。これは読むだけでは潰れません。問題を解いて、間違えて、その場で上書きするのがいちばん速い道です。
資格道場のITIL ファンデーション(バージョン5)問題集は、公式シラバスのカテゴリーと比重に沿って書き下ろしたオリジナル問題です。
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旧称・旧6活動名を誤答の選択肢に置いた設問を意図的に入れてあります。ITIL 4 経験者がどこで引っかかるかを、演習の中で先に見つけられます
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収録は160問。本番と同じ40問を1回として、模試4回分に分けています
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全問に解説と、選択肢ごとの「なぜそれが違うのか」を付けています
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会員登録もログインもなしで50問を解けます
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ITIL 4 を受ける方はITIL 4 Foundation問題集もそのまま併売しています
あわせて読みたい
- ITIL V5とは?ITIL ファンデーション(バージョン5)の全体像
- ITIL 4はいつまで受けられる?2027年12月終了とバージョン5への移行
- ITIL ファンデーション(バージョン5)の出題形式と勉強法
- ITIL 4とITIL v3の違い
- ITIL 4で混同しやすい用語の見分け方
参考(一次情報・すべて2026年8月確認)
- PeopleCert 公式シラバス日本語版 v5.0(2026年2月)── 7カテゴリーの出題比重、試験仕様、設問形式
- PeopleCert ITIL 4 Foundation 公式シラバス日本語版 v4.2 ── 比較の基準線(ITIL 4 側の比重)
- PeopleCert 受験者向けFAQ 日本語版 ── 34プラクティスの2群再編、ITIL 4 からの継続性、ITIL 4 の2027年12月終了、Bridgeの位置づけ
- PeopleCert ITIL ファンデーション Bridge(バージョン5)公式シラバス日本語版 v5.0 ── Bridgeの試験仕様と「変更のないトピックは再評価しない」という範囲宣言
※ ITIL® は AXELOS Limited(PeopleCertグループ)の登録商標です。資格道場は特定の団体から承認・提携を受けていない、独立した学習サービスです。試験仕様・提供状況は変更されることがあります。お申し込みの前に必ずPeopleCert公式サイトで最新情報をご確認ください。