結論:LinuCは「レベル1の101 → 102」から。1試験ずつ、手を動かして積む
LinuC(リナック)は、LPI-Japanが実施する国内向けのLinux技術者認定試験です。特定のディストリビューションに依存しないベンダーニュートラルな資格で、Linuxサーバーを扱う実務知識を段階的に証明できます。
はじめての方の最短ルートはシンプルです。
- レベル1の101試験でLinuxの構造と基本操作の土台を作る
- レベル1の102試験で運用側(シェルスクリプト・ネットワーク・ログ・セキュリティ)へ広げる
- 実務が構築寄りになったら**レベル2(201 → 202)**へ進む
LinuCで一番つまずきやすいのは、範囲の難しさより「4つの試験があって、どれから受ければいいのか分からない」という入口の部分です。まずここを整理します。
LinuC レベル1 101試験の問題演習はこちら →(第1回の模試は無料の会員登録ですぐ解けます)
LinuCの全体像 ── 4試験・2つのレベル
| 認定 | 必要な試験 | 中心テーマ |
|---|---|---|
| LinuC レベル1 | 101試験 + 102試験 | Linuxサーバーを操作・運用する |
| LinuC レベル2 | 201試験 + 202試験 | Linuxシステムを設計・構築する |
押さえておきたいルールが3つあります。
- 1つのレベルに2試験。101だけ、201だけでは認定になりません。両方に合格して初めてそのレベルの認定を得られます。
- 受験順は自由。101と102はどちらを先に受けても構いませんし、同じ日に受ける必要もありません。
- レベル2にはレベル1の認定保有が前提。いきなり201から始めることはできない設計です。
試験の基本情報
4試験に共通する枠組みは次のとおりです(LPI-Japan公式サイトで2026年7月に確認した情報です)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営 | LPI-Japan |
| 問題数 | 約60問 |
| 試験時間 | 90分(うち試験後アンケート5分を含むため、解答時間は実質85分) |
| 合格ライン | 非公開(公式にスコア基準は公表されていません) |
| 受験料 | 16,500円(税込)/1試験あたり(2026年7月時点) |
| 試験言語 | 日本語・英語 |
| 受験方法 | ピアソンVUE経由のCBT(テストセンターまたは自宅)。企業向けにPBT(ペーパーテスト)の団体受験制度もあります |
| 認定の有効期間 | 認定日から5年間「ACTIVE」として記録されます |
数字で効いてくるのは受験料です。1試験16,500円なので、レベル1の認定(101+102)だけで33,000円、レベル2まで通すと合計66,000円かかります。「まとめて申し込んで一気に受ける」より、1試験ずつ確実に仕上げて受けるほうが、結果的に安く済みます。
合格ラインが非公開である点も、計画に影響します。「何割取れば受かる」という基準が公表されていないため、ギリギリを狙う戦略が立てられません。模試形式の演習で正答率に十分な余裕を作ってから受験するのが、遠回りに見えて確実です。
出題範囲の読み方 ──「配点◯%」ではなく「重要度」
ここはAzureやAWSの試験から来た方が戸惑うところです。
Microsoft・AWSの試験ガイドは「この領域が○〜○%」というパーセンテージで配点を示します。一方LinuCの出題範囲は、トピックごとに「重要度」という数値が割り振られる方式で、パーセンテージでの配点比率は公表されていません。重要度が高いトピックほど、試験で多くの問題が出題されるという考え方です。
つまり学習計画では、「この分野に何%割り当てる」ではなく「重要度の数字が大きいトピックから潰す」という読み替えが必要になります。出題範囲のページを開いたら、まず重要度の数字を眺めて、大きいものに印を付けるところから始めてください。
レベル1の出題テーマ
101試験は4テーマ構成です。
- システムアーキテクチャ(ブートプロセス・systemd・ランレベル/ターゲット)
- Linuxのインストールとパッケージ管理(apt/dpkg・yum/dnf/rpm・共有ライブラリ)
- GNUとUnixのコマンド(ファイル操作・テキスト処理・パイプとリダイレクト・プロセス管理・vi)
- デバイス・Linuxファイルシステム・FHS(パーティション・マウント・権限・リンク)
重要度が高いトピックが集中するのは「GNUとUnixのコマンド」です。ここは参考書を読むだけでは定着しません。仮想マシンやクラウドの無料枠で実際にコマンドを打ち、結果を見る時間を必ず確保してください。
102試験は6テーマ構成で、運用側に広がります。
- シェルおよびスクリプト(シェル環境のカスタマイズ・シェルスクリプト)
- ネットワークの基礎(IPとサブネット・ネットワーク設定・疎通確認・クライアント側のDNS設定)
- システム管理(アカウント管理・ジョブスケジューリング・ローカライゼーションと国際化)
- 重要なシステムサービス(システム時刻の管理・システムのログ・メール配送エージェント(MTA)の基本)
- セキュリティ(セキュリティ管理業務・ホストのセキュリティ設定・暗号化によるデータの保護・クラウドセキュリティの基礎)
- オープンソースの文化(オープンソースの概念とライセンス・コミュニティとエコシステム)
102で重いのは「シェルおよびスクリプト」と「ネットワークの基礎」です。コマンドを個別に覚えるだけでなく、パイプとリダイレクトを組み合わせて簡単なスクリプトを自分で書いてみると、応用問題への耐性が変わります。
レベル2の出題テーマ
201試験(6テーマ)は、システムを作る側の範囲です。
- システムの起動とLinuxカーネル(GRUB・カーネルの構成とコンパイル・カーネルモジュールの管理)
- ファイルシステムとストレージ管理(設定とマウント・保守・LVMによるボリューム管理)
- ネットワーク構成(基本設定・高度な設定・トラブルシューティング)
- システムの保守と運用管理(makeによるビルド・バックアップとリストア・システム監視とロギング・アカウント管理の自動化)
- 仮想化サーバー(仮想マシンの仕組みとKVM・仮想マシンの管理)
- コンテナ(コンテナの仕組み・コンテナの運用)
注意点がひとつ。201試験の出題範囲に、RAID(mdadmによるソフトウェアRAID構成)は含まれません。 LPIC等の他資格の教材と混同して、範囲外の学習に時間を使ってしまうことがあります。その分の時間は、同じ「ファイルシステムとストレージ管理」の中のLVMに寄せるほうが効率的です。
202試験(7テーマ)は、サービスを運用する側の範囲です。
- ネットワーククライアントの管理(DHCP・PAM認証・LDAP)
- ドメインネームサーバー(BINDの設定と管理・ゾーンファイル・DNSSEC)
- HTTPサーバーとプロキシサーバー(Apacheの設定と管理・HTTPS・Nginxとリバースプロキシ)
- 電子メールサービス(Postfixの設定と管理・メールボックスへの配送とリモートアクセス)
- ファイル共有サービス(SambaとNFS)
- システムのセキュリティ(iptables/firewalldによるパケットフィルタリング・OpenSSHの設定と管理)
- システムアーキテクチャ(高可用システムの実現方式・構築・クラウドの構成)
202はとにかく扱うサービスの数が多いのが特徴です。まとめて詰め込もうとすると設定ファイルの記憶が混ざります。1サービスずつ、設定ファイルを編集して起動・確認するところまでを1セットにして、順に潰していってください。
勉強時間の目安
以下は各種解説サイトで紹介されることが多い目安で、LPI-Japan公式の基準ではありません。参考程度に扱ってください。
| 対象 | 目安 |
|---|---|
| レベル1(101+102の合計) | IT未経験で130〜200時間/ITの基礎知識があれば100〜150時間 |
| レベル2(201+202の合計) | 200時間前後(レベル1取得済み+実務経験があれば100〜150時間) |
いずれも「1試験あたり」ではなく「レベル全体(2試験の合計)」の数字である点に注意してください。101単体で130時間ではありません。半分に割って1試験あたりの見積もりを立てると、計画が立てやすくなります。
5年の有効期限という時間割
LinuCで見落とされがちなのが、時間の制約です。
- 試験の合格には1件ごとに5年の有効期限がある ── 先に合格した試験からもう一方の合格まで5年を超えると、先に合格したほうの効力が失われ、再受験が必要になります
- 認定にも5年のACTIVE期間がある ── 有意性を保つには、5年以内に同一レベルの最新バージョン試験に合格するか、上位レベルの新規認定を取得する必要があります
とはいえ5年は十分に長い期間です。101と102を数か月〜1年以内に取り切る計画なら、まず気にする必要はありません。**「101を取ったまま何年も放置しない」**という一点だけ覚えておけば十分です。
よくある質問
Q. LinuCは101と102、どちらから受けるべきですか?
どちらから受けても構いませんが、101 → 102の順が自然です。101がLinuxの構造と基本操作、102がその上の運用・ネットワークという積み上げの関係になっているためです。ただし試験制度としての順序指定はないので、業務で先に触れている範囲から受けても問題ありません。
Q. LinuCの合格ラインは何割ですか?
公式には公表されていません。 「◯割で合格」という数字を掲げている情報を見かけても、LPI-Japanの公表値ではない点にご注意ください。基準が非公開である以上、模試形式の演習で余裕を持った正答率を作ってから受験するのが安全です。
Q. LinuCレベル2から受けることはできますか?
できません。レベル2の認定にはレベル1の認定保有が前提です。201・202に合格しても、レベル1の認定がなければレベル2の認定にはなりません。
Q. 全部取るといくらかかりますか?
受験料は1試験あたり16,500円(税込・2026年7月時点)です。レベル1の認定(101+102)で33,000円、レベル2まで通すと4試験で合計66,000円になります。受験料は改定されることがあるため、お申し込み前に必ず公式サイトでご確認ください。
まとめ
- LinuCは4試験・2レベル。1レベルにつき2試験の合格が必要で、レベル2はレベル1の認定が前提
- 共通の枠組みは約60問・90分(解答時間は実質85分)・受験料16,500円/1試験
- 合格ラインは非公開。ギリギリ狙いができないので、演習で余裕を作ってから受ける
- 出題範囲は配点%ではなく**「重要度」の数値**で示される ── 数字の大きいトピックから潰す
- 201試験にRAID(mdadm)は含まれない。他資格の教材と混同しないこと
- 勉強時間の目安は**レベル単位(2試験の合計)**で語られる。1試験あたりに割り直して計画する
Linuxは、読むだけでは手が動くようにならない領域です。コマンドを自分で打つ練習と、本番形式の問題演習を並行させてください。資格道場のLinuC問題集は、四肢択一に加えて、本試験と同じくコマンドを実際に入力する形式の問題も収録しています(101試験432問・102試験424問・201試験405問・202試験390問。101試験の問題集はこちら。第1回の模試は無料の会員登録で試せます)。
コマンド入力形式の問題にどう向き合うかは、コマンド入力問題の対策 ── LinuC・CCNAで「手が動かない」を潰すで詳しく解説しています。
あわせて検討したい資格
- LinuC レベル1 102試験 ── 101とセットでレベル1認定
- LinuC レベル2 201試験 / 202試験 ── 構築・運用へ進む2本
- CCNA(200-301) ── ネットワーク側のもう一本の柱。学習の進め方はCCNAの勉強法と学習順へ
- インフラ1年目の資格の並べ方はインフラエンジニア1年目の資格取得ロードマップにまとめています
参考(LPI-Japan公式・一次情報)
- LinuC レベル1(問題数・試験時間・受験料・試験言語)
- LinuC レベル2(同上)
- LinuC 認定の有効期限(再認定について)
- LinuC 試験の受け方
※ 本記事は2026年7月時点のLPI-Japan公式情報をもとに作成しています。受験料・試験仕様は改定されることがあるため、お申し込みの前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。合格ラインは公式に公表されていないため、本記事では扱っていません。