「データベースって結局なんなのか、ちゃんと説明できない」という状態のまま、IT系の仕事に配属される人は少なくありません。Microsoft認定のDP-900(Azure Data Fundamentals)は、まさにその状態から抜け出すために作られた資格です。この記事では、DP-900で問われるデータの基礎概念を、実務でデータベースに触れたことがない人向けに整理します。
DP-900とは何を証明する資格か
DP-900は、Microsoftが提供する「Microsoft Certified: Azure Data Fundamentals」認定の取得に必要な試験です。対象は、データベースエンジニアやデータアナリストとして働いた経験がない人、あるいはこれからクラウド上のデータ関連業務に関わろうとしている人です。特定のプログラミング言語やクエリ言語(SQLなど)を深く書けることは前提とされておらず、「データにはどんな種類があり、それぞれをどう扱うのか」という概念理解が中心になります。
出題範囲は、コアとなるデータの概念、Azure上のリレーショナルデータ、Azure上の非リレーショナルデータ、Azure上の分析ワークロードという構成になっています。それぞれの分野の配分比率は改定されることがあるため、受験前にMicrosoft Learnの認定ページで最新のスキルアウトラインを確認することをおすすめします。
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リレーショナルデータとは何か
リレーショナルデータとは、行(レコード)と列(フィールド)からなる「表」の形でデータを持つ方式です。Excelの表をイメージするとわかりやすく、たとえば「顧客」という表があり、顧客ID・氏名・住所という列を持つ、という構造になります。
リレーショナルデータベースの特徴は、複数の表を「キー」でつなげられる点にあります。
| 表名 | 主なカラム | 役割 |
|---|---|---|
| 顧客テーブル | 顧客ID, 氏名, 住所 | 顧客情報を1件ずつ管理 |
| 注文テーブル | 注文ID, 顧客ID, 商品名, 金額 | 注文情報を1件ずつ管理 |
この2つの表は「顧客ID」というキーでつながっており、「ある顧客が何を注文したか」を表をまたいで取得できます。この仕組みを支えているのがSQL(Structured Query Language)というクエリ言語で、Azure上ではAzure SQL DatabaseやAzure Database for MySQL、Azure Database for PostgreSQLといったサービスがリレーショナルデータベースにあたります。
リレーショナルデータベースが向いているのは、在庫管理・会計・受発注のように、データ同士の関係性が明確で、整合性(データの矛盾がないこと)が強く求められる業務です。
非リレーショナルデータとは何か
非リレーショナルデータ(NoSQLと呼ばれることもあります)は、表形式にきっちり収まらないデータを扱う方式です。代表的な種類には次のようなものがあります。
- キーと値のペア: 「ユーザーID」に対して「セッション情報」を1つ紐づけるような、シンプルな組み合わせでデータを持つ形式
- ドキュメント形式: JSONのような、階層構造を持つ1件のまとまったデータをそのまま保存する形式。商品情報のように、商品ごとに持つ項目数が違う場合に扱いやすい
- グラフ形式: 「人と人のつながり」のように、データ同士の関係そのものを重視する形式。SNSの友人関係の分析などに使われる
非リレーショナルデータベースが向いているのは、データの形が頻繁に変わる、あるいは商品ごと・ユーザーごとに持つ項目数がバラバラになるようなケースです。表の形を厳密に決めてから使うリレーショナルデータベースに比べると、柔軟にデータを追加していきやすい特徴があります。Azure上ではAzure Cosmos DBが代表的な非リレーショナルデータベースサービスにあたります。
データウェアハウスと分析ワークロード
日々の業務で発生するデータ(注文が入る、在庫が減るなど)を記録する処理を「トランザクション処理」と呼びます。一方で、「先月の売上を地域別に集計したい」「過去1年分の傾向を見たい」というように、大量のデータをまとめて分析する処理を「分析ワークロード」と呼びます。
この2つは求められる性能の方向性が違います。トランザクション処理は「1件ずつ素早く正確に記録する」ことが重視されるのに対し、分析ワークロードは「大量のデータを一度に集計・可視化する」ことが重視されます。そのため、実務では日々の業務データを保存するデータベースとは別に、分析専用に整理されたデータの置き場所を用意することが一般的です。これを「データウェアハウス」と呼びます。
Azure上では、Azure Synapse AnalyticsやMicrosoft Fabricのような分析基盤サービス、Power BIのような可視化ツールが、このデータウェアハウスや分析ワークロードの分野に対応します。DP-900では、こうしたサービスの名前と役割を対応づけて覚えることが問われます。
学習の進め方
DP-900はMicrosoft Learn上に無料の学習コンテンツ(ラーニングパス)が公式に用意されており、まずはそこで概念を一通りさらうのが基本ルートです。Ping-tのように問題演習に特化した学習サイトを併用している人も多く、公式ドキュメントで概念を理解し、演習サイトで用語や選択肢のひっかけに慣れる、という組み合わせは効率のよい進め方の一つです。
学習の際に意識したいのは、「用語の丸暗記」ではなく「なぜその方式が選ばれるのか」という理由まで理解することです。たとえば「非リレーショナルデータベースはなぜ柔軟なのか」を自分の言葉で説明できるかどうかが、実際の試験問題での判断力に直結します。
DP-900の学習を効率よく進めたい方は、まず50問を会員登録もログインも不要でその場から解ける問題集をお試しください。理解度を本番形式で確かめたい段階になったら、無料の会員登録で挑戦できる模試第1回もあわせてご活用いただけます。DP-900の問題集
参考
よくある質問
Q. DP-900はSQLを書けなくても合格できますか
DP-900はSQL文を自分で書く実技を問う試験ではなく、データの概念や用語、Azureサービスの役割を理解しているかを問う試験です。SQLの基本的な考え方(SELECTで抽出する、といったレベル)を知っていると理解が早まりますが、複雑なクエリを書けることは前提とされていません。
Q. データベース実務未経験でもDP-900から始めて問題ないですか
DP-900はもともとMicrosoftが「データ関連の実務経験がない人」を主な対象として設計している試験なので、未経験からのスタート地点として想定通りです。この後にAzure Database Administrator Associate(DP-300)やAzure Data Engineer Associate(DP-203など、名称・体系は変更される場合があります)といった、より専門的な認定に進む人も多くいます。
Q. リレーショナルと非リレーショナルはどちらを先に学ぶべきですか
DP-900の出題範囲としてはリレーショナルデータが先に置かれていることが多く、表とキーという概念がデータベース全般の基礎になるため、先に理解しておくと非リレーショナルデータの「柔軟さ」との対比がしやすくなります。ただし出題順に厳密な決まりはないため、業務で先に触れる可能性が高い方から学んでも問題ありません。
Q. 出題範囲や配点は変わることがありますか
Microsoftの認定試験は、対応するAzureサービスの変化に合わせて出題範囲や配点比率が改定されることがあります。学習を始める前に、Microsoft Learnの認定ページに掲載されている最新のスキルアウトラインを確認することをおすすめします。
Q. 学習期間の目安はどれくらいですか
学習期間はITやクラウドの前提知識の有無によって大きく変わるため、一律の日数を示すことはできません。Microsoft Learnの公式ラーニングパスを一通り終える時間を基準に、演習問題での正答率を見ながら自分のペースで調整するのが実務的な進め方です。