AI-103とは:Microsoft Foundryで生成AIとエージェントを作る力を証明する資格
AI-103(Developing AI Apps and Agents on Azure) は、Microsoftの新しいAzure AI開発者向け試験です。合格すると Microsoft Certified: Azure AI Apps and Agents Developer Associate を取得できます(2026年6月時点ではベータ提供)。
この資格が証明するのは、ひとことで言えば**「Microsoft Foundryを土台に、生成AI(LLM)とAIエージェントを設計・開発・運用できる力」**です。従来のAI-102が「Azure AIサービスの実装」を中心にしていたのに対し、AI-103は生成AIとエージェント開発を主役に据えています。AI-102との違いはAI-102とAI-103の違いの徹底比較で詳しく解説しています。
試験の基本情報(合格点・時間・言語・ベータ)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験名 | Developing AI Apps and Agents on Azure |
| 認定資格 | Azure AI Apps and Agents Developer Associate |
| レベル | 中級(Associate) |
| 合格点 | 700(1000点満点中) |
| 試験時間 | 120分 |
| 対応言語 | 英語のみ(2026年6月時点) |
| 提供状況 | ベータ(採点は後日/練習アセスメントはGA後8週以内が通例) |
| 想定言語スキル | Python |
ベータ試験は、問題と試験の品質データを集める目的で、結果がその場では出ません。スコアは後日通知されます。
試験範囲:5ドメインと配点
Microsoft Learn公式(2026年4月16日時点のスキル)に基づく、AI-103の出題領域と配点です。
| ドメイン | 配点 |
|---|---|
| ① 生成AI・エージェント実装 | 30〜35% |
| ② Azure AIソリューションの計画・管理 | 25〜30% |
| ③ コンピュータービジョン実装 | 10〜15% |
| ④ テキスト分析実装 | 10〜15% |
| ⑤ 情報抽出実装 | 10〜15% |
合計の重みからわかるとおり、①+②(生成AI・エージェント+その計画運用)だけで全体の半分以上を占めます。学習の優先順位は明快です。
① 生成AI・エージェント実装(30〜35%)
最大ドメインです。主な内容:
- Foundryを使った生成アプリ構築(LLM・小規模モデル・コードモデル・マルチモーダルモデルのデプロイと利用)
- RAG(検索拡張生成) の実装
- ツール連携フロー・多段推論パイプラインの設計
- Foundryでのエージェント構築:役割・ゴール・会話追跡・ツールスキーマの定義、関数呼び出し・会話メモリの統合
- マルチエージェントのオーケストレーション、自律/半自律ワークフロー(承認フロー・セーフガード付き)
- 生成AIシステムの最適化・運用:プロンプトエンジニアリング、モデルパラメータ調整、トレーシング・トークン分析・遅延の可観測性
② Azure AIソリューションの計画・管理(25〜30%)
- 生成AI・エージェント向けの適切なFoundryサービス/モデルの選定(LLM・SLM・マルチモーダル等)
- 検索・インデックス、メモリ・ツール・ナレッジ統合の方式選択
- AIインフラ設計、デプロイ構成、CI/CDパイプライン連携
- 監視・セキュリティ:クォータ・スケーリング・コスト管理、マネージドID・プライベートネットワーク・キーレス認証
- 責任あるAI:セーフティフィルター、ガードレール、コンテンツモデレーション、評価・監査(トレースログ・来歴メタデータ)
③ コンピュータービジョン実装(10〜15%)
- テキスト/参照メディアからの画像生成・動画生成、画像編集(インペインティング・マスク編集)
- マルチモーダルモデルによる視覚理解、キャプション生成、視覚的根拠に基づくQA、アクセシビリティ向けのalt属性生成
- Azure Content Understanding(Foundry Tools) による視覚特徴抽出・動画解析
- 画像内の不適切コンテンツ分類、画像埋め込みテキストによる間接プロンプトインジェクションの検知・緩和
④ テキスト分析実装(10〜15%)
- 生成プロンプトとFoundry Toolsで、エンティティ・トピック・要約・構造化JSONを抽出
- 感情・トーン・安全性・機微情報の検出
- Azure Translator(Foundry Tools)またはLLMによる翻訳フロー
- 音声ソリューション:音声↔テキスト変換、エージェントの音声モダリティ統合、音声入力からのマルチモーダル推論
⑤ 情報抽出実装(10〜15%)
- ドキュメント・画像・音声・動画の取り込みとインデックス化
- セマンティック検索・ハイブリッド検索・ベクトル検索によるグラウンディング設定
- OCRを含むRAG取り込みフロー、検索パイプラインとエージェントツールの接続
- Content Understanding による文書からの情報抽出(OCR+レイアウト解析+フィールド抽出のマルチモーダルパイプライン、構造化/Markdown出力)
対象者・前提スキル
公式のオーディエンスプロファイルでは、AI-103の対象者は**「Microsoft Foundryを活用してエージェントとAIソリューションを構築・管理・デプロイするAIエンジニア」**とされています。前提として、
- Pythonでのアプリ開発経験
- 一般的なAI・生成AI・Azureサービスへの理解
が求められます。業務ではビジネス関係者・ソリューションアーキテクト・データサイエンティスト・DevOps・クラウドセキュリティエンジニアと協働してAIソリューションを設計・実装・保守する、という想定です。
日本語化はいつ? ── 現時点は英語のみ
2026年6月時点で、AI-103は英語のみの提供です(認定ページの「This exam is offered in the following languages: English」)。
日本語など他言語への対応時期について、Microsoftは公式に**「英語版の更新後、おおむね8週間後にローカライズ版を更新する」**という運用ルールを示しています。これを踏まえると、
- 日本語版が出るとしても、英語版が正式版(GA)になってから約8週間後が一つの目安
- ただし「この日程どおりにならない場合もある」と公式が明言しているため、確定情報ではありません
英語受験に不安がある場合は、試験中に追加30分をリクエストできる制度(希望言語で受けられない場合)も用意されています。最新の対応言語は、受験予約時の「Schedule Exam」欄で必ず確認してください。
まとめると、日本語化は「GA後に来る可能性がある」程度の見立てで、現時点では未確定。急ぐなら英語での受験を前提に準備するのが安全です。
学習の進め方(公式リソース)
- 公式スタディガイド(試験範囲の一次情報。本記事の配点もここが出典)
- 自己学習コース/インストラクター主導コース(Microsoft Learnの「2 ways to prepare」)
- 練習アセスメント:GA後おおむね8週間以内に提供される見込み。ベータ期間中は未提供
- 関連ドキュメント:Azure AI services / Azure OpenAI / Azure AI Search / Document Intelligence など
学習の軸は「生成AI・エージェント(30〜35%)」。Foundry上で実際にLLMをデプロイし、RAGとエージェントを動かす経験を積むのが最短ルートです。
なお、前身のAI-102は2026年6月30日で廃止されます。いまからAI-102を受けるべきかどうかの判断は、AI-102の廃止はいつまで? ── いま受けるべきかを参考にしてください。
まとめ
- AI-103は Foundry上の生成AI・エージェント開発 を証明する新資格(Azure AI Apps and Agents Developer Associate、ベータ)
- 合格点700、120分、英語のみ、想定言語はPython
- 配点は**生成AI・エージェント30〜35%/計画・管理25〜30%**が中心。残り3領域(CV・テキスト分析・情報抽出)が各10〜15%
- 日本語化は未確定。公式ルール上は「英語版更新の約8週後」が目安で、急ぐなら英語受験前提で準備を
参考(Microsoft公式・一次情報)
- AI-103 公式スタディガイド(5ドメイン配点・各ドメインの詳細スキル・ローカライズ約8週ルール)
- AI-103 認定ページ(ベータ表記・合格点700・120分・対応言語・追加30分制度)
- AI-102 公式スタディガイド(廃止日 2026-06-30)
※ 本記事は2026年6月10日時点のMicrosoft公式情報をもとに作成しています。試験仕様・日程は改定されることがあるため、お申し込みの前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。