AWS Certified Cloud Practitioner(試験コード CLF-C02、通称 CLF)は、AWS認定の中で唯一の Foundational(基礎)レベルに位置づけられる試験です。エンジニアの入門資格としてはもちろん、営業・企画・管理部門など「AWSを使う側・売る側」の共通言語づくりとしても定番になっています。この記事では、CLF-C02の出題範囲と配点、経験別の勉強時間の目安、そして「AWS試験に過去問は存在しない」という前提を踏まえた問題演習の進め方を整理します。
CLF-C02の試験概要 ── まず土俵を知る
学習計画を立てる前に、試験の枠組みを押さえておきましょう。以下はAWS公式の試験ガイドにもとづく情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験コード | CLF-C02 |
| 問題数 | 65問(うち採点対象は50問。残り15問は採点されない評価用の設問) |
| 試験時間 | 90分 |
| 出題形式 | 択一選択(4択)/複数選択(5つ以上の選択肢から2つ以上を選ぶ) |
| 合格ライン | 100〜1000のスケールスコアで700以上 |
| 受験料 | 100 USD(税や地域により表示が変わるため、申込時に公式サイトで最新額を確認してください) |
| 認定の有効期限 | 3年(再認定が必要) |
90分で65問なので、1問あたり約80秒のペースです。CLFは長文の設計問題が少なく、知っていれば数秒で答えられる問題も多いため、時間切れよりも「知らないサービス名が選択肢に並ぶ」ことのほうが失点要因になります。
出題範囲と配点 ── セキュリティと技術で約3分の2
CLF-C02の出題範囲は、公式の試験ガイドで次の4分野に定義されています。
| 分野 | 配点 |
|---|---|
| 第1分野:クラウドのコンセプト | 24% |
| 第2分野:セキュリティとコンプライアンス | 30% |
| 第3分野:クラウドテクノロジーとサービス | 34% |
| 第4分野:請求、料金、およびサポート | 12% |
注目すべきは、第2分野と第3分野の合計で64%を占める点です。学習の力点は次のように置くのが実戦的です。
- 第1分野:クラウドの利点(俊敏性・弾力性・従量課金)、AWSウェルアーキテクテッドフレームワークの考え方。AZ-900など他社クラウドの学習経験があれば、ここはかなり流用できます。
- 第2分野:責任共有モデル(AWSと利用者の責任分界)とIAM(ユーザー・グループ・ロール・ポリシーの違い)が二本柱です。配点最大級のわりに範囲が絞りやすい、費用対効果の高い分野です。
- 第3分野:EC2・S3・RDS・Lambdaといった主要サービスについて「どれを何に使うか」を広く問われます。深い設計力より、サービス名と用途の対応を数多く知っていることが得点になります。
- 第4分野:配点は12%と小さいものの、サポートプランの違いや料金モデル(オンデマンド・リザーブド等の考え方)は暗記で取りやすい領域です。捨てずに短時間で仕上げましょう。
勉強時間の目安と1ヶ月学習プラン
勉強時間について公式の発表はないため、以下は学習計画を立てるための編集部の目安です。実際は前提知識や学習密度で大きく変わります。
- インフラ・クラウドに日常的に触れている方:15〜30時間
- IT経験はあるがAWSはほぼ初めての方:30〜50時間
- 非IT職・IT未経験の方:50〜80時間
平日1時間+週末2〜3時間の確保で、1ヶ月前後が現実的なラインです。プラン例を挙げます。
- 第1週:AWS Skill Builderの無料デジタルコース「AWS Cloud Practitioner Essentials」で全体像をつかむ。この段階では暗記より「地図を持つ」ことを優先します。
- 第2〜3週:分野別にインプットと問題演習を往復する。間違えた問題に出てきたサービス名をその都度調べ、自分用の対応表を育てるのが効率的です。
- 最終週:模擬問題を90分計って通しで解き、本番のペース感覚を作る。直前は配点の大きい第2・第3分野の弱点を優先して埋めます。
「過去問」は存在しない ── 問題演習との正しい付き合い方
AWS認定試験にはNDA(秘密保持契約)があり、本試験の問題は公開されません。つまり、情報処理技術者試験のような厳密な意味での「過去問」はCLFには存在しません。ネット上で「過去問」を名乗る情報は、正確性も再現性も保証されない点に注意が必要です。
演習素材としては、まず公式のものから使うのが安全です。
- 公式試験ガイドに付属するサンプル問題
- AWS Skill Builderで提供される公式練習問題セット(無料で受けられるものがあります)
そのうえで、市販の問題集やWeb問題集で量を積みます。Ping-tのような無料で使える学習サイトも定番の選択肢で、解説の充実度や問題の更新頻度を見て、自分の学習スタイルに合うものを選ぶとよいでしょう。
大事なのは、問題演習の目的を「答えの丸暗記」ではなく「知らないサービス名を潰す作業」と捉えることです。CLFは選択肢に並ぶサービス名の守備範囲がそのまま得点になる試験なので、演習→調べる→対応表に追加、のループが合格への最短経路になります。
AZ-900の学習経験はどこまで流用できるか
Microsoftの基礎資格AZ-900(Azure Fundamentals)を先に取得している方は、少なくない部分を流用できます。
そのまま効く部分(概念レイヤー)
- クラウドの利点、従量課金、IaaS/PaaS/SaaSの区別
- 責任共有モデルの考え方(AWSとAzureでほぼ同じ構図です)
- リージョンと可用性ゾーン(AWSではアベイラビリティゾーン)の考え方
読み替えが必要な部分(サービス名レイヤー)
| 役割 | AWS | Azure(AZ-900) |
|---|---|---|
| 仮想サーバー | Amazon EC2 | Virtual Machines |
| オブジェクトストレージ | Amazon S3 | Blob Storage |
| ID・アクセス管理 | AWS IAM | Microsoft Entra ID |
| サーバーレス関数 | AWS Lambda | Azure Functions |
覚え直しになる部分は、第4分野の料金・サポートプラン(AWSのサポートプラン区分はAWS固有です)や、AWS Organizationsなどの組織管理まわりです。概念の学習をスキップできるぶん、前述の勉強時間の目安より短縮できる方が多いはずですが、第3・第4分野のサービス名暗記だけは避けて通れない、と見込んでおくと計画が狂いません。
まとめ ── インプットを終えたら現在地を測る
CLF-C02は、概念理解と用語暗記のバランス型で、問題演習の量が得点に直結しやすい試験です。公式教材で一周インプットしたら、早めに本番形式の問題で現在地を測り、間違いから逆算して弱点を埋めていきましょう。当サイトのCLF-C02問題集は第1回を無料の会員登録で試せますので、腕試しの一歩目にご活用ください。
参考
よくある質問
Q. 非IT職の営業ですが、いきなりCLFから受けて大丈夫ですか?
問題ありません。CLFはAWS認定で唯一の基礎レベル試験で、コードを書く問題や詳細な設計問題は出題されません。ただし専門用語のインプットには相応の時間がかかるため、勉強時間は多め(50時間以上)に見積もり、無料の公式デジタルコースから始めるのが安全です。
Q. CLFを飛ばして、いきなりSAA(ソリューションアーキテクト アソシエイト)を受けるのはありですか?
AWS認定には前提資格の要件がないため、制度上は可能です。インフラ運用の経験がある方なら直接SAAを狙うのも現実的な選択です。一方、クラウドがほぼ初めての方は、CLFで用語と全体像の土台を作ってからのほうが、結果的に総学習時間が短く済むケースが多い印象です。
Q. 自宅でのオンライン受験とテストセンター受験、どちらを選ぶべきですか?
CLFはどちらの方式でも受験できます。オンライン監督試験は移動が不要な反面、部屋の環境チェックや本人確認、通信の安定性など要件が厳しめです。受験環境に不安がある方や初めてのAWS認定の方は、設備が整ったテストセンターを選ぶほうがトラブルの心配が少ないでしょう。
Q. 不合格になった場合、すぐに再受験できますか?
AWSの再受験ポリシーでは、不合格後は14日間の待機期間を置いてから再受験が可能です。再受験のたびに受験料は改めて必要になります。待機期間中に、スコアレポートで示される分野別の結果を見て弱い分野を集中的に補強するのが定石です。
Q. 認定の有効期限が切れそうなときはどうすればよいですか?
AWS認定の有効期限は3年で、期限を迎える前に再認定が必要です。同じ試験(その時点の最新バージョン)に合格し直すほか、より上位レベルのAWS認定に合格することで下位の認定も併せて更新される仕組みがあります。期限が近い方は、上位資格への挑戦とセットで計画するのも一案です。